ランカスター陛下の放浪日記?

 私の名はランカスター=フォン=クローディア。 「ラスディリア」と呼ばれる「世界」の中の一国、「クローディア王国」の国王を務めている。  国王というのはどの職業よりもやっかいな職業で大変なものだ。
 何しろ「自由」がない(怒) 常に人に見られているわ、行動は制限されているわ、寝るヒマがないぐらい忙しいな何一つ良いモノがない・・・。 誰とは言わないが・・・「国王」になりたいと思う奴の気がしれん。最悪だ。
 私のこの性格には全く合っていないという事は自分でも自覚している。 でも「王族」として「王位継承者」として生まれたからにはきちんと「責任」は果たす。 今も国民に対して「責任」を果たしているつもりだ。
 「国王」なんて・・不自由な生き物だ。 皆は、何でも出来ていいじゃないかと思うだろう。 だが、それは「自由」という何よりもかえがたいモノを犠牲にしての「立場」と「権力」だ。
 "人は何かを得るためには・・何かを失わなければならない・・・。"
 どこかの本に書いてあったが・・まさしくその通りだ。
 「権力」など・・決していいものではない・・。 それが・・何故分からないのだろう・・・。 その「立場」にならないとわからないものかな・・・。

 私の息子、ランフォードには私のような「思い」をしてほしくはないのだが・・・ 無理な話なのだろうか・・・。 「国王」という一番トップのポジションにつく以上、どんな汚い場面も、総て見続けなければならないのだから・・・。

 おっと、感傷に浸ってしまったな。らしくない。
「陛下〜・・ランカスター陛下〜どこにいらっしゃるのですか?」
 おっと、まずい。衛兵だ。 見つかったら・・外に出られないじゃないか。 それに・・ランフォードやヴァリスに見つかったら・・・大変だ。
 私は音を立てないようにその場から離れた。 とある経路を使って外に出るのだ。

「あら・・?ランカスター陛下・・・そんなカッコしてどこにいかれるんですか?」
 後ろから声が掛かる。
「アヤか・・ビックリした。」
「ごめんなさい、驚かせてしまって・・・。」
 「アヤ」・・・彼女は「ラスディリア」の「人間」ではない。「異世界」から来た少女だ。 「戦いの女神ラフィーリア」となる「運命」を背負って・・・。 確か、ランフォードかファーナが彼女の世話をしていたはずだが・・こんなところで会うとは。
「ランフォードと一緒にはいないのかな?」
「ランフォード・・朝から仕事がたまっているんですって・・ ファーナも仕事があるっていってしまったし・・・ だから一人で城の探検を・・しようかなって・・・・。ヒマだし。」
 その仕事を溜めさせたのは・・・私か。 分かっているんだが・・・どうも止められない・・。

「ランフォードもしょうがないやつだな。女の子を一人ほったらかして・・・。」
「ランフォードも仕事あるし、私だけにかまってられないから。ランフォードは悪くないです。」
 彼女はランフォードを庇おうとして必死だ。 顔をみてすぐ分かる。
「ランフォードには何もしないよ。・・・そうだな。ヒマなら私と付き合ってもらおうか?」
「へ?」
 私はアヤを連れて、城を抜け出した。
「陛下・・・・いつもこうして城を抜け出していらっしゃるのですか?」
「ああ。この抜け道は私以外で知るものはいない。だから誰にも見つからない。」
「それはそうでしょうね・・・本棚の後ろに隠してあるんですもの。この仕掛け・・いつかバレますよ。」
「そうならないように日頃、工夫を重ねているんだが、これもまた大変でな・・・。」
「本で読んだ事あるんですけど・・・王族にしか知らされない抜け道みたいなのってあるって・・・。 陛下がお使いになっている抜け道もそんな感じのモノなのですか?」
「ま、そんな所だな。 クローディア王国の代々の国王がお忍びで城下に出る時に使用していたものだと私は聞いたが・・・。」
「・・・」
「放浪癖はクローディア王家に代々伝わってきたモノなんだよ。 私が特に酷かったというだけの話だ。ランフォードにもばっちりその「血」は受け継がれているはずなんだがなぁ・・・。 あいつはきっと母親の「血」が濃く出たんだろ。私の王妃は真面目だったんでね。よく怒られたな・・・。」
「私の父さんも・・・昔、母さんが生きていた頃、よく怒られてましたよ。 父さんは母さんに頭上がらなくて・・・。なつかしいな。」
「そうか・・・。」

(あいつも・・私と同じようだったのだな・・・。)
 私はすこし昔を思い出した。 楽しかった思い出。 遠い、過ぎ去ったあの時を。
「陛下・・・?」
「いや。少し思い出に浸ってしまった。さて、見つからないうちに行こう。 アヤ、君はどこに行きたい?ランフォードに変わって、私がクローディア王国内を案内してあげよう。」
「ホントですか?ランフォード・・忙しそうだったからなかなか頼めなかったんです。」
「そうか、それはちょうどいい。」
「そうだな・・・城下町を歩きたいかも。」
「分かった。」

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