ランカスター陛下の放浪日記?

 一方、城でそのような事になっているとはつゆ知らず、ランカスターと綾は城下町を歩いていた。
「すごくにぎわってますね。」
「そうだろう?私の自慢の一つだ。皆、生き生きとして働いている。 その「笑顔」を見たいが為に私やランフォードは「政治」を行う。 「民」を粗末に扱ってはいけないものだ。 彼らがいるからこそ、我ら「王族」は生きていける・・・ そして、その彼らの為に我らは国を守るのだ。」
「じゃあ・・・陛下の放浪癖っていうのは、 クローディア王国に住む人たちがどんな暮らしをしているかを見る為ですか?」
「そうだ。そういう風に言ってくれたのは君で二人目だよ。アヤ。」
 私はそう彼女に微笑んだ。
「他にも・・・同じ事を言った人がいるのですか?」
「私の・・・妹だ。」
「ランカスター陛下の妹さん・・・」
「今はここにはいない・・・遠い国に行ってしまった。」
「遠い国・・・。」
「気分が沈んでしまったな。すまない。君を見ているとつい昔を思い出してしまう。」
「??・・いや・・・私は構わないのですけど・・・あ。あれ・・」
 アヤは何かを見つけて、走っていってしまった。
 「何かを見つけてすぐそっちへ行ってしまうのは・・「彼女」とそっくりだ。」 私はその後ろ姿を見て苦笑いした。

「うわ〜可愛いな〜」
綾は露店で可愛い小物を見ていた。 「いらっしゃい。可愛いお嬢さん。」
「可愛いだなんて・・・。」
「ゆっくり見ていきな〜。」
 綾はそこに売られていたガラス細工を見つめていた。
「この「世界」にも・・こういうのあるんだ。可愛い〜」
「アヤはそういうのが好きなのかな?」
「あ・・ランカスター・・むぐ。」
 ちょっとここで正体がバレてはまずいので、慌ててアヤの口をふさいだ。
「ここでは私の事を「父」と呼べ。」
「は、はい・・。」
「ほう・・。それが欲しいのかな?」
「あ・・・可愛いなって思っただけで・・・・。」
「これ、もらうよ。」
「へい。」
 店主は商品を包むのに裏に行った。
「・・・いいんですか?」
「欲しそうにしてたから。いいよ。私に付き合ってくれたお礼だ。」
 私はそう言って、彼女に微笑んだ。
「お待たせしました。どうぞ。」
「ありがとうございます。」
 アヤは丁寧に包まれた商品を受け取った。
「ありがとうございます・・・・お・・・「お父様」。」
 彼女は私が言えと言った「言葉」をそのままいった。 自分で言えといっときながら・・・恥ずかしいな。 娘がいたなら・・・こんなカンジだったのかな・・・?
「そういえば・・また「国王陛下」が逃げたらしいですぜ。」
「こ、「国王陛下」が?」
「さっき、クローディア騎士団の騎士と宰相閣下が来て、金髪の長身の男と女の子を見なかったかと。 「国王」がまた逃げたと」
「・・・・。」
「見つけたら、即連絡するように・・・だってさ。物凄い剣幕だったよ、宰相閣下。 ランカスター陛下はよく城からお出かけなさるらしいが・・ 我ら下々の者たちともよく会話をなさるらしい・・・
 陛下にも休暇があっていいとは思うんだけどねぇ・・・。 後継ぎのランフォード殿下に任せて陛下は休暇をってねぇ・・・。 ランフォード様も有能な方だし。 なんてったって「ランフォード殿下」は我らが「守護神」、「光神アルスフォード」の生まれ変わりですからねぇ。 ・・・金髪で長身・・・女の子、もしかしてアンタらか?」
「いえ、ち、違います。」
「私はそんな高貴な人物じゃないよ。では、行こうか。」
 その店から離れた私たちは・・・
「・・・・・・ランカスター陛下って愛されているんですね。」
「まあね。」
 私は少し、冷や汗をかいた。 ま、いつもの事だから、逃げるのも得意だ。 しかし・・・ヴァリスまで出てくるなど・・本気だな。
「だからといって、こんなところで捕まったりはしないよ。」
「陛下・・・戻らなくていいのですか?」
「いまさら、何を。」

 それから私とアヤは色々なところに行った。 彼女の楽しそうな顔を見るたび、なつかしい・・「昔」を思い出す。

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