ランカスター陛下の放浪日記?

一方、クローディア城では・・・

ランフォードたちは執務に追われていた。
「なぁ、ランフォード」
「なんだ?ノヴァ。口より手を動かせよ。 かなり仕事たまっているんだ。急いでやらんと今日中には終わらんぞ。」
「いや、それは分かっているんだが、父上は陛下を捕まえられたのかな〜って思ってさ。」
「なかなか戻ってこないところを考えるとまだ捕まっていないか、もしくは逃げられたか、どちらかだな。 ヴァリスは忘れているのかもしれないが、父上もオレと同じ「竜騎士」だからな。」
「・・・・そうだったな。」
「ランフォード様。」
 ファーナが部屋に入ってくる。
「どうした?ファーナ。」
「ヴァリス宰相閣下がお戻りになられていますが・・・陛下は逃げられたそうです。 閣下はかなりお怒りのご様子で・・・。」
「・・・しょうがないな・・・父上も。ファーナ、ヴァリスを呼んで来い。 ノヴァ、我慢しろよ。ヴァリスの愚痴が長々と続くぞ。」
「ランカスター陛下がお逃げになられたと聞いた時から覚悟はしていたさ。」
 ノヴァもため息とつく。
「ノヴァ、お前はああやって逃げはしないからまだマシな方だな。」
「逃げても無駄なの分かっているし。おっかない奴が追いかけてくるから・・・・」
ゴイ〜ン
「って〜・・・・。」
「おっかなくて悪かったわね(怒)」
「・・・誰も別にお前だなんて言ってないだろ。」
「遠回しで私の事言ってるの丸分かりなのよ!!」
 ノヴァとファーナのケンカがまた始まる。 ランフォードは深いため息をついた。 余談だが、このとき、彼は軽い胃炎を起こしていた<ストレス溜まってるから(笑)

その頃・・・・

 私とアヤはとある場所に来ていた。
「ランカスター陛下・・ここ・・・。」
「誰にも知られていない・・・私と私の妹とランフォード・・そして我が妻以外はね。」
「でも・・私知ってしまいました。」
「かまわないよ。ヴァリスにバレなきゃ構わない。」
「・・・それにしても綺麗な場所ですね。」
「いいだろう?一人になりたい時にここに来る。そうすると落ち着くんだ・・・。 「国王」という「職業」というのはとてもストレスが溜まるモノだからね。」
「ランフォードを見てたら分かります。」
「ははは。アイツは分かりやすいからね。去年、ほんとに酷くなって、私が医者に怒られたよ。」
「・・・・。」
 少し沈黙が降りた。

私にはずっと思っていたことがある。 「彼女」と初めて出会った時から・・・。

「アヤ、君には・・・出来るかもしれない。」
「「ラフィーリア」としての「使命」を果たす事ですか?」
「それもあるけど・・・。」
「??」
「ランフォードを救ってやってほしい。」
「ランフォードを・・・ですか?」
「いきなりですまないな。だがな・・・あれはいつも一人で悩んで苦しんでいる。 だから・・君にランフォードの「支え」になって欲しい。 ランフォードの君に対する「態度」を見て思ったんだ。」
「私じゃなくても・・・ノヴァやファーナがいるじゃありませんか・・・。 私はただの「異世界」からの「通りすがり」。 いずれ、私のいるべき「世界」に帰らなくてはなりません。 そんな私に・・・ランフォードの為に「何」が出来るんです?」
「そんな事は関係ないよ。ランフォードはな・・・ずっと「古い傷」を背負っているんだ。 だから君にあいつの「傷」を癒してほしい。それはノヴァやファーナでは出来ない事なんだ。 「君」以外・・「それ」を出来る者はいない・・・無論、私もだが。」
 彼女は少し黙り込んだ。 当然といえば当然か。 でも「彼女」になら出来ると私は直感で思ったのだ。
「ランフォードを・・・助けてくれ・・・。 私にはどうする事もできない・・・「古い傷[かこ]」の事もそうだが・・・ あの子は生まれながらに誰よりも・・・「王」としての「運命」以上に「重いもの」を背負っている。 私は「父」としてあの子にしてやれる事は悔しい事だが何もないのだ。」
「ランカスター陛下・・」
 彼女は何か考えていた。
「ランカスター陛下・・・こんな「私」でも「誰かの為」に「力」になれるのなら・・・ 少しでもランフォードの負担を軽く出来るのなら・・・ ランフォードって全部一人で背負いすぎなんですよね。 ノヴァとファーナをもっと信頼すればいいのに。 ・・・でも私、出来る限り、ランフォードの為にがんばってみます。 少しでもあの人の負担が軽くなるように・・・」
「・・・」
「ランカスター陛下に言われたからするんじゃなくて、私自身の「意志」で動くんです。」
「私はいつも自分の勝手で人を振り回してばかりだな・・・・・ 私の勝手な我儘を聞いてくれてありがとう、アヤ。」
「このまえ読んだ本に「ラフィーリア」は「アルスフォード」の為に在ったって書いてあったんです。 だから私も・・・「ランフォード」の為に・・がんばりたいって思ったんです。 私を助けてくれたランフォードに・・・私の為に自分の近衛をつけてくれたり・・ 結構色々気を使ってくれてるし。ここの「世界」の「知識」も教えてくれるし。」
「それにしては城に閉じ込めておくのはどうかと思うが。」
「そ、それは・・・ランフォードが忙しいからで・・・。」
 再び、沈黙が流れる。
「ランフォードって優しいから・・全部自分一人で背負うとしているんですよね。 それは周りからみたら少し悲しい気もする・・・私がランフォードと同じものを背負えれば・・いいな。 出来るかな・・・?」
「きっと・・・出来るさ。「君」が「君」であるなら。」
 「ラスディリア」「総て」に関わってくる「運命」を「彼女」もまた背負っている事を私は知っている。 それは遥か昔に「プログラム」された事だ。「私」ごときに変えられるはずもない。
 「定められた「運命」を抗い、それを乗り越える者たち。」
 きっとランフォードとアヤなら・・乗り越えられると信じていよう。 お前もそう信じているのだろう・・・サトル・・・。 彼らが「運命」を乗り越えた後に・・・明るい「未来」が待っている事を・・・。
「そうだ。ここまで来たついでに「エストリア王国」まで行こう。 久しぶりにラディリスとアイリーンに会いたくなった。」
「へ?」
「いいから。今日中には戻れる、心配するな。私も「光魔法」の「使い手」でね。転移魔法は使えるんだ。」
私は無理矢理、アヤを連れてエストリア王国へ向かった。

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