忘れられし悲劇

 数百年前に起こった「ラスディリア」総てを巻き込んだ戦争。 そこで起こった悲劇。
・・・・後に「光神」と「戦いの女神」と呼ばれるクローディア王国の王子アルスフォードと 異世界から来た少女「ラフィーリア」の悲恋。
 人々は「光神」と「戦いの女神」が再び巡り会うよう祈り、語り継ぐ。
・・・・しかし その裏にはもう一つ悲劇があった。
 「アルスフォード」と「ラフィーリア」以上の「悲劇」
・・・・・「地神[リュークナイト]」と「雷神[イシュトリア]」・・・・側に、近くにいるのに「遠い存在」となってしまった二人。
 その「悲恋」は遥か過去に埋もれたまま、「風化」するかにみえた。 そして。「彼ら」の「想い」は現代へと受け継がれる。

"・・・・リューク"
誰だ・・・?誰かが私を呼んでいる。 いや・・・「私」ではなく、「私」の中にいる「彼」を呼んでいるのか・・?

「リューク。」
「イシュトリア・・・私はもう行かなくてはならない。」
「リューク、私は・・・」
「君の父上と兄上が亡くなられた以上、レアディーを継げるのは君だけだ。」
「どうして・・・兄上と父上は・・・・。」
 イシュトリアはつぶやく。 彼女の言いたい事に気づいたリュークナイトは嗜める。
「イシュトリア、死者を冒涜してはいけない。 国王陛下もイーグル殿下もレアディーの為に戦ったんだ。 君もそれぐらい分かっているだろう?」
「それは分かっているけど・・・でもリューク、私は・・・・。」
「聞き分けろ。イシュトリア。 アルスフォードとラフィーリアのようにもう二度と会えない訳ではないだろう、私たちは。 会いたくなったらいつでも会えるさ。」
「・・・」
「イシュトリア。これだけは言っておく。 私が愛しているのは永遠に君だけだ。」
「リューク。私もよ。 貴方だけが「私」の「心」を知る唯一の人。」
「今度、生まれ変わったら・・・・」
「ええ・・・。」
「それまで、さようなら・・・イシュトリア。」
「・・・リューク。 どこにいても、女王になっても、違う誰かと結婚しても、私は貴方の事をずっと想ってる。」
「それは、私のセリフだ。」
 二人は笑いあう。
「リューク・・・さよなら。」

リュークナイト。
後に「地神」と呼ばれる、エストリアの王子はレアディーの王女、後に雷神と呼ばれるイシュトリアの後ろ姿をじっと見つめていた。
(私の・・・愛しいイシュトリア。・・・いつか必ず。)

そして、二人は数百年の時を経て、再会する。

「・・・ン・・ディーン・・ランディーン。」
「・・・何だ?・・ランフォード。」
「先ほどからよんでいるのに、返事ぐらいしろよ。」
「悪いな。」
「どうした?お前にしては珍しいな。居眠りか?」
「・・・昔のことを思い出した。・・・というか見ていた。」
「見ていた?」
「「夢」に近いものだったが・・・・。」
「「シヴァ」の事か?」
「違う。もっと「昔」、遥か「昔」の事だ。」

リュークナイト様・・・・
 数百年の時を経て、私は「彼女」と出会った。 そして、今の私の側に「彼女」はいる。 ようやく、私たちは出会えた。
「長かった。」
「は?」
「いや・・なんでもない。」
 父上に連れられて「彼女」がエストリアに来た時、本当に嬉しかった。 それは「前世」が関係しているからではない。私は純粋に「彼女」に惹かれた。
・・・・今思えば、「レアディー王国」が滅びたのは「運命」だったのかもしれない。 ・・・いや、「私」の所為で滅んでしまったのかもしれない。 「レアディー」の為に、私が出来る事、それは・・・
 「彼女」を守る事・・・ずっと側で。

「誰が何と言おうとリューネを離すものか。」

Copyright © 2003  くみちょう,  All rights reserved.
This site is created by ez-HTML