忘れられし悲劇

「へぇ・・・「ラフィーリア」の「悲劇」の裏にそんな「悲劇」があったなんて。」
 アヤが感想を述べた。
「そう・・・。これは、エストリアの王族と今は亡きレアディーの王族しか知らないそうよ。」
「じゃあ、ランフォードたちも知らないんだ。」
「そうね。ランディーン様はぺらぺらと話すようなタイプではないし。」
「でも・・・リューネはどうして知っているの?もしかしてレアディーの王族?」
「・・・私にレアディーの王族の血が流れている事は知っているけれど、本当に王族なのかどうかは知らないわ。 私、小さい頃の記憶がないの。」
「・・・ごめんなさい。」
 アヤがちょっと申し訳なさそうな顔をして言った。
「いいのよ。気にしないで、アヤ。」
「で、誰から聞いたの?ランディーンさん?」
「いいえ、ランディーン様のお母様。エストリアの王妃様に聞いたの。」
「そっか。ランディーンさんって、そういう話言いたくなさそうだもんね。」
「・・王妃様がおっしゃるには・・私とランディーン様が結ばれるのは「運命」なんだって。 私は「イシュトリア」の「魂」を受け継ぐものだからって。」
「だから結婚したの?」
「いいえ。私がランディーン様を愛してるから。 「イシュトリア」だから「リュークナイト」様を愛した訳じゃないわ。 「ランディーン様」だから「私」、「リューネ」はあの方を愛したの。」
「・・・・いいなあ。そういう風に想える相手がいて。私もいつかそういう相手が現れるかな。」
「あら?ランフォード様は?」
「え、あ?え?ら、ランフォード?」
 そのアヤの反応にちょっと吹き出しそうになったリューネ。
「・・・・。」
「ランフォードは優しいし、強いし、カッコいいし。「男」としての魅力は感じるよ。・・・でも。」
「住む世界が違う?」
「・・・・うん。」
「アヤ。そんな風に思ってちゃ何もならないわよ。きっと貴方、後悔する。」
「後悔・・・・。」
「人の「想い」って何よりも「強い」ものよ。その「想い」は総てを「強く」する。 誰であろうと、その「想い」は止められない。例え「創造主」であっても。」
「後悔はしたくない・・・から・・・ここまで来たの。」
「そう。」
「でも「ランフォード」の事はゆっくり考えてみる。」
「・・・・。」
「明日も早いし、もう寝るね。ランフォードに何言われるかわからないから。」
「くす・・・。ランディーン様と同じね。ランフォード様も。」
「おやすみ、リューネ。」
「おやすみ、アヤ。」

 許されるなら・・・ずっとランディーン様の側で・・・・。 私の持てる総ての力をランディーン様とランディーン様が守るべき、エストリア王国の為に。 それが・・・私を育ててくれたエストリア王国の人たちと、私を守ってくださるランディーン様への恩返しだと思うから。
 私は「前世」があるから惹かれたワケじゃない。でも出会ったのは「運命」だった。

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