忘れられし悲劇

 時はさかのぼり、13年前。 レアディー王国が隣国に滅ぼされたという報が入り、国王ラディリスはレアディーに向かった。 そして、国王は一人の少女を連れて戻ってきた。
"ランディーン。"
 国王ラディリスは一人息子のランディーンを呼ぶ。
"なんでしょう?父上。・・・あれ?その子は?"
 ランディーンはその少女に気がついた。 少女はたまらず、ラディリスの後ろに隠れた。
"・・お前の顔を見て怖がってるみたいだな。"
 ラディリスは笑う。
"僕はそんなに怒った顔なのでしょうか?"
"・・・・彼女はちょっと色々あってな。 今はこうして私になついてくれてるが、初めてあったときは怯えていて、私の顔を見ようともしなかったよ。"
"・・・彼女は・・"
"お前は賢いな。彼女が何者なのかすぐ分かったみたいだな。"
"・・・いえ。単なる閃きというか・・・何故か懐かしい感じがしたから。"
"・・・・また、その事はあとで話す。私は忙しい身である事はお前も十分承知であろう?"
"はい。"
"彼女はお前に任す。お前が彼女を守れ。"
"ぼ、僕がですか?"
"そうだ。"
 ランディーンは少女をじっと見つめる。 少女の方も最初は怯えていたが、自分を見つめるランディーンの瞳が優しく、温かいモノだと気づき、 少女はそっとラディリスから離れる。
 そしてランディーンの側によった。
"僕はランディーン。君の名前教えてくれるかな?"
"・・・リューネ。おとうしゃまとおかあしゃまいなくなっちゃったの。 にいしゃまもいないの。リューネひとりぼっちになったの。"
 リューネと名乗る少女は泣き出す。 ランディーンはその少女を思わず抱きしめる。
"・・・僕がいるよ。ずっと側にいる。"
"・・ホント?リューネをひとりにしない?"
"ああ、約束するよ。だから泣かないで。"
"・・・らんでぃーん・・にいしゃま・・・。"
"ランディーン"
 ラディリスは息子を呼びかける。
"父上、この子は僕が守る。必ず・・・一人にはさせない。"
 そう言った息子をラディリスは満足げにそしてどこか寂しげに見つめていた。

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