秋風の歌

第零幕

終わりの始まりでひと時の希望
絶望の始まりで始まりの始まり
生のときめく時で死の兆候
死とは無縁のように思えて最も死に近い
喜びは欲を導き欲は滅びを招く
人、これを戒めとすべし

 人が倒れていた。 正確にはお母さんだったモノが無造作に転がっていた。 何が起こったなんて訳分かんなかった。
 ただただ知らない人達に囲まれる中、涙をこぼしていた。 何があったんだ、どうして殺した、それぞれ恐い顔をして私を責め立てていた。 まもなく憲兵が来て連れて行かれた。
 連れて行かれるときの人の目線が私をえぐり続けた。 親殺し、呪われた子……
どうして私が……

 今振り返ってみても、なぜあの時に発動されたか分からない。 お母さんの喜ぶ顔だけの為に学び始め、学び続けた魔術。 あの時もただ母親に見て欲しかった。 ただ、それだけのこと
 なのに何で…… 好奇心が私のたった一人の家族を奪った。 得たものはくだらない職と一生癒えない心の傷。 人殺しと罵られても否定できない現実。
 ただの一度でも……
 どんな状況であれ……
 人をあやめてしまったならば
この烙印は一生かかっても取れないのだろうか。

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