秋風の歌

第弐幕

「隣国が攻めてきた。」
全てはその知らせから始まった。
よりにもよって年に一度の収穫祭の前。
狙いは、それであることは明白であった。

 軍事大国である隣国。
常に食糧不足に頭を悩ますその国はその技術と脅威を引き換えに食糧を手にしていた。
いつ攻められるか分からぬ微妙な均衡。
それにも関わらず今までは続いてきた。
今までは、だ。
 気候変動。
ここ数年来、この大陸一帯を襲った異常気象。
 雨降るところに洪水。
 雨降らぬところに砂漠。
 暑きところに熱波。
 寒きところに寒波。
隣国はおろか我が国もその例外に漏れなかった。
当然のように食糧不足が襲った。
備蓄のおかげで何とか保ってきたが、それも今年が限界。
そんなときにこの知らせ。

戦女神[プルートー]を呼べ」
ざわついていた会議場が一気に静まり返った。
「は?」
「呼べと申しておるのだ。」
躊躇した彼を一括した。
「お言葉ながら申し上げますが、本気で死神(プルートー)をこの場に――」
「連れて参れ」
会議場は再び、ただし先程よりも、騒然とし始めた。

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