秋風の歌

第参幕

 王宮の奥、王の寝所となる宮殿の中庭。

 そこに彼女を呼んでいた。ひそかに。

「本当に申し訳ない」
 そう心から頭を下げた。
「そんな言葉は――」
「やはりまだ君を受け入れる土壌は出来ていないようだ……」
「…………」
 先程の会議でのことだ。
 彼女に入ってきた途端に変わった空気の色。
 向けられる蔑視の目線。
 ささやかれる中傷の数々。

 彼女はただの女の子なのに。

「いや、君が胸を張って生きていける場所を作って見せる」
 それが自分の債務だ。即位して間もない自分で、侮られてばかりではあるがこれだけは守ってみせる。
 それが王としての自分、ささやかな好意を向けてくれる私個人に寄せてくれる彼女へ出来る唯一のことだ。
「だから安心して待っていて欲しい」
 そう言って風で折れてしまいそうなほど細い彼女を抱きしめた。
「はい」
 返事と共に彼女も手を回してくれた。

Copyright © 2006-2008  空想書院,  All rights reserved.
This site is created by ez-HTML