秋風の歌

第五幕

罪。
一生贖いきれない罪。
さらに重ねる罪。

……目の前で積み重なる、積み重ねられる、[ヒト][ヒト][ヒト]
その中から、ふらりと立ち上がる生き残った少年。
手にした、刃の欠けた剣を。
疲れでまともに持てない、震えるその手で持ち。
ゆらりと私へと向ける。

人が人を否定する、殺してもいい、正しい理由なんて、どこにも、ない。
この星のどこを探したって、どこにもあるわけがない。

人は、人それぞれは、それぞれに同じ人なんかいなくて、代わりとか、いなくなっていいとか、そんな人なんて一人もいない。
みんながみんなつながっていて、切れてしまっていい関係なんか、どこにもない。

好きだとか、嫌いだとか。
嬉しいとか、悲しいとか。
そんな一時の感情で人を殺めてはいけない。
命と奪うというその間違った行為に、理由づけなんかしてはいけない。

もし、するとするならば。
奪うその人の全てを背負う覚悟をしなければいけない。

……私は。
私は――……
私は人としてみてくれるあの人が、それをする行為を是としていないと分かっていても。
是としたくなくても命じたことなら。
そうだと知った上で。
私は――……

響く鈍い音。

手を下そうと思う。

虚しく、そして、心に刺さすような、高い、高い、金属音。

音の響き終わった目の前に広がるのは……ただ血濡れた戦場
ただ、それだけ。

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