世界、再生

 広がる空はどこまでも青く、清浄な空気があることを主張する。
 浮かぶ雲は白く、これが正しいのだと断言する。
しかし。
その真下に広がるのは。
 赤茶けた大地。
 どこまでも広がる砂地にはっきりと見える赤の地平線。
 どこ一つをとってもそれを飾るのは岩肌と過去の残骸ばかり。
緑は、地球のどこにもなかった。

 元は東京[キャピタル・トーキョー]と呼ばれた都市の上空、高度2万メートル。
 時速1万キロで飛ぶ高高度特殊任務機内[フラッグ・シップ]に俺はいた。
 時は21世紀末2188年。世界は滅びに瀕していた。世界から国境と言うものは消え代わりとなる「世界統一機構[ガバメント]」の下、世界は秩序をようやく取り戻し始めたところだった。それでもいつの時代にも革命を謳い秩序を崩そうとするものはいるものだ。それを捕捉、殲滅するのが俺の任務だ。
 今回の任務は実験試料[サンプル]の奪還。「世界再生[リバイバル]計画」の重要な[Seed]を握っているらしいが詳しいことは知らない。ただ名前から言ってこのクソったれな世界をどうにかしてくれるような感じがすることは確かだ。それを奪おうとはとんだ不届き者だ。

「任務を開始する」
 高度を落とした機体の側面がスライドし、見たくもない風景[大地]が視界を覆う。広がるのは砂地ではなく滅びた文明[高層ビル]の残骸。鋼鉄[暗灰色]の塊がゴミのように散らかっている風景はいつ見ても吐き気がする。己の装備はかなりの重装備。肌は絶対に外にさらせない。もう、地球の空気は吸うことが出来ないのだから。吸うことはすなわち自分の死に直結する。
 耳元で叫ぶ空気。全身を粉々にしようと襲う突風。
――もうそんなものには慣れた
 ただ自分の視界で近づく[ズーム]するこの風景だけは――……
 過去に戻るような錯覚。そして否応なくそれを否定する現実。現実と幻想がせめぎあうこの瞬間[トキ]だけはどうしても自分にはダメだ。
 視界を白の光が覆いつくした。

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